2009年03月のお知らせ・コラム
2009.03.31
<一茶の俳句365>霞して百の身丈の立木哉 一茶
きりえタイトル「こぶし咲く里」 バイパスを走らないで、わざわざ集落の細い道へ入る。こぶしの花に出会えることがある。必ず来年も来ようと決めて立ち去るが、再来はめったにない。でも、庭に一本樹があるようになってから、そういう風景に出会えない春をひとり嘆くことは無くなった。手打ちとインスタント位違うが、やむなし。
2009.03.30
<一茶の俳句365>さほ姫の御目の上のこぶしかな 一茶
きりえタイトル「こぶし咲く丘」 さほ姫は地黄の別名ともいうが、春を司どる女神のこと。空高く咲くこぶしは、この花そのものがさほ姫。山里のさほ姫は地黄の別名ともいうが、春をつかさどる女神の意味もある。空高く咲くこぶしは、この花そのものが春の女神。山里によく似合う。わが家の庭にも大木が一本ある。気がつくのを忘れていても、ちゃんと咲いている。道を通る人にとって風景であれば、それで良い。
2009.03.29
<一茶の俳句365>花咲くや自慢をきゝにくるすゞめ 一茶
きりえタイトル「ひめこぶし」 しでこぶしとも言われ、こぶし程大木に育たない。花びらの数が多く、そり返って咲く。
2009.03.28
<一茶の俳句365>春風に得しれぬ藪も祭かな 一茶
きりえタイトル「うれしく出会う」 みてくれる人があろうが無かろうが、咲いている。春たけなわになる程に葉が大きく育って咲く。
2009.03.27
<一茶の俳句365>雨よ風よいつ迄咲くぞ野大根 一茶
きりえタイトル「大根の花」 冬越しのために土にあずけておいた大根。忘れていたら芽を伸ばし花が咲いた。蝶はそれを見逃さない。
2009.03.26
<一茶の俳句365>蝶と共に吾も七野を巡る旅 一茶
きりえタイトル「すごい福寿草」 花いちめんの風景を巡って歩く旅。信州の春は七野を超える風景が揃っている。
2009.03.25
<一茶の俳句365>昼寝るによしという日や虹はじめ 一茶
きりえタイトル「いちめんるり色」 雪を解かす雨が降る。雨があがって、日あたりを見ると、いちめんるり色。こんな原っぱから今年の虹がたちはじめる。
2009.03.24
<一茶の俳句365>帳箱の上に咲きけり福寿草 一茶
きりえタイトル「そこにも福寿草」 アリガトウ福寿草。根がせんきゅうのように効能がある薬草だったとしたら、掘られてしまったかもしれない。幸い花の美しさの役目なので、咲くだけが求められて喜ばしい。
2009.03.23
<一茶の俳句365>岩がねや塵をおし分けて福寿草 一茶
きりえタイトル「ここにも福寿草」 四賀村に自生で福寿草の咲く丘がある。一面に咲くと、そこが風景になる。
2009.03.22
<一茶の俳句365>長閑さや土蒔きちらす雪の上 一茶
きりえタイトル「春のはろにがさ」 市街地を抜け郊外へ出た。どこかにふきのとうが目を出す土手があると思っていた。走って保科まで来てしまった。採って許されそうな土手は全くない。あきらめながら思った。荒れた畑やその土手に「ふきのとうご自由に」の村おこしはできないものか。
2009.03.21
<一茶の俳句365>春雨のめぐみにもれぬ草葉かな 一茶
きりえタイトル「かたくり咲くのニュース」 かたくりの花がニュースに登場。戸隠高原や飯山の花は、連休明け。まだこの花の上をスキーヤヤーやボーダーが雪を楽しんでいる時だ。かたくりの花は一茶の句に詠まれていない。万葉集ではかかごの花として、一首だけある。えっ、たったの一首とは驚く。もっと何首もあるので、からくりは万葉集を代表する花と思っていた。その一首は大伴家持の歌。 もののふの八十をとめらがくみまがふ寺井のうへの堅香子の花
2009.03.20
(一茶の俳句365)つみ草を母はカゴから目利きかな 一茶
きりえタイトル「春をつむ」 ドカーンと大雪を降らせるカミ雪。気温も高くなっているので解けるのも早い。家ぶきの葉と山ぶきの葉では、4〜5倍も大きさが違う。ふきのとうはやや山ぶきの方が小ぶりだ。草をよく知っている人により分けてもらわないと、野草には毒草もあるから怖い。トトキと間違えて、トリカブトの若葉を食べると、死ぬことさえある。
2009.03.19
(一茶の俳句365)おおよそに三百年のすみれかな 一茶
きりえタイトル「すみれ」 淡いムラサキあり、濃いムラサキあり。一茶が三百年と詠むならば、私はおおよそ五百年のすみれ、と表わすことになる。
2009.03.18
(一茶の俳句365)陽炎や庇の草も花の咲く 一茶
きりえタイトル「春の実感」 庭にもふきのとうが芽を出す。もっとたくさん、あちこちに芽を出して欲しいので、山から採ってきて植えている。
2009.03.17
(一茶の俳句365)振り替る柳の色や雨あがり 一茶
きりえタイトル「咲くネコヤナギ」 川べりには、いろいろな種類のヤナギが育って土に根を張っている。花の咲き方も、いろいろ。
2009.03.16
(一茶の俳句365)二葉三葉つみ切って来るわかなかな 一茶
きりえタイトル「るり色の空」 浅黄色を水に溶く。混ぜものなしでイヌフグリの色になる。春の空は、ここへ少し花白緑を混ぜた方が霞む。
2009.03.15
(一茶の俳句365)童に刀持たせてわかなつみ 一茶
きりえタイトル「土筆坊」 つくしんぼとニックネームまである。春の野で、わかなつみができる土手は公園より見つけにくくなっている。ふきのとう、なずな、のびろ、つくし…。
2009.03.14
(一茶の俳句365)田ネズミの穴からぬっとつくしかな 一茶
きりえタイトル「つくしの唄」 千曲川の水をのぞきに芽を出したのか、つくし。かわいい、と指でつついてみる。ところが、家の庭にミズキの子として顔をのぞかせるツクシは、にくらしくさえある。スギナは狭い庭の一番厄介な雑草なのだ。
2009.03.13
(一茶の俳句365)春の風足むく方へいざさらば 一茶
きりえタイトル「散歩へ行こう」 イヌフグリの花にさわると、花はすぐに離れて散る。つぼみが犬のフグリに似ていたからついた名前。いったい名づけ親は誰?つぼみより花の方がずっと目立つんだから、るりぐるま、とか、るり草もいい。
2009.03.12
(一茶の俳句365)春の風草にも酒を呑ますべし 一茶
きりえタイトル「イヌフグリ」 るり色の花には、青いガラスびん入りのお酒が似合う。
2009.03.11
(一茶の俳句365)ミミズクの面魂よ春の暮 一茶
きりえタイトル「まんさく咲く夜」 夜のまんさくは黄金に輝く。鋭い夜番の見張りが続く。
2009.03.10
(一茶の俳句365)手をかけて人の顔見て梅の花 一茶
きりえタイトル「梅の風格」 一本で風景を創り出す風格。ここでも梅は採りやすいように低く低く…。
2009.03.09
(一茶の俳句365)吉日のお顔なりけり雛達 一茶
きりえタイトル「桃びな」 桃の花の中に、お行儀の良いひなが座る。月遅れの4月3日までおひなさまを飾る。仕舞い忘れは、娘の婚期を遅らせると、子どもの頃に聞いていた。婚期なんて誰が決めたの、と言われそうだ。
2009.03.08
(一茶の俳句365)昼頃やほろほろキジの里歩き 一茶
きりえタイトル「それぞれの語らい」 冬の狩りで獲物になっていたキジ。羽根がお風呂の焚き火にふわふわしていた。濃い緑の色、尾羽のグレー、その時は、焚くのがもったいなくて、何本もひろったものだった。
2009.03.07
(一茶の俳句365)花咲くや道の曲がりに立つ地蔵 一茶
きりえタイトル 「れんぎょうびな」 少し気取ったムスコとムスメ。何分このまま我慢できるかな。
2009.03.06
(一茶の俳句365)菜の花や西へむかえば善光寺 一茶
きりえタイトル「菜の花びな」 菜の花のひと株ひと株がおひなさま。ご冗談おっしゃっらないで、とかお喋りなのか。
2009.03.05
(一茶の俳句365)わか草に夜も来てなく雀かな 一茶
きりえタイトル「まんさくの花」 まんさくの黄花が、空気の中にぬくもりの横糸を送り出す。この木は、 間違わずこの花を咲かせる。早春の玉手箱。
2009.03.04
(一茶の俳句365)おぼろ夜や天の音楽聞きし人 一茶
きりえタイトル「早春の月」 夕方になると、春は名のみを実感する。川霧の五線譜にネコノ芽が音符となって、天からの音楽が響いてくる。
2009.03.03
(一茶の俳句365)ひな祭り娘が桐も伸びにけり 一茶
きりえタイトル「ひな祭り」 桃の節句のままごと遊び。娘が誕生すると、嫁入り道具のたんすに備えて、桐の樹を植える風習があった。クローゼットが家に造りつけられるようになたり、桐だんすは一般の家からは姿を消してしまった。大きな日本間があり、桐だんすを置いて、そこに一般の着物を持ってみたい。夢のまた夢。
2009.03.02
(一茶の俳句365)梅咲くや信濃のおくも草履道 一茶
きりえタイトル「古梅樹」 盆栽のように庭にたたずむ古梅樹。梅は大胆に枝を剪定する程、新しい枝が伸びて実が多くつくのだという。採りやすいように低く構えて咲いている。
2009.03.01
(一茶の俳句365)邪魔にすなとてもかくても消る雪 一茶
きりえタイトル「残り雪」 この日に到達すると、またこの一年間生きることができそうだと確かめる。そうしながら六十数回目を迎えようとしている。というのは、二月にいつも風邪をひいていることが多かったからだ。還暦をいう区切り。記念として「見たい猿言いたい猿聞きたい猿」の絵を刻んだ。
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